SPECIAL COLLECTION in ISETAN 2025 I 石川の伝統工芸 牛首紬展
日頃よりMIZENをご愛顧いただいております皆様へ
2025年9月7日(土)〜 8日(日)に伊勢丹新宿店本館7階 呉服売り場にてポップアップを開催いたします。
2016年2月のPremière Vision Parisでの出会いから9年になる本年1月、
MIZENは牛首紬の故郷である石川県白山市にて、ローカルストア牛首紬 x MIZEN白山店<加賀乃織座>をオープンさせました。
一般的には都市部にしか存在しないファッションが、日本の伝統織物と交わることによって地方にもうまれ、その地を訪れたからこその体験が
味わえます。織元ならではの豊富な品揃えから好きな反物を選び、洋服にも和服にも自分だけの一着をお仕立てできるオーダーメイドを承っていますが、
その体験を期間限定で東京の中心で行うのが本イベントになります。
作品が語りかける “余白” に潜む物語を、ぜひ会場でご体感ください。
皆さまにお目にかかれますことを、心より楽しみにしております。
COLLECTION
KAMUI - KIMONOニットスクエアケープ
牛首紬「勝」ランダムタテ絣フラシ雨
※受注生産
伸縮性のあるニットと伸びない着物という異素材を、最高峰の縫製技術であるリンキングで融合させた一着です。
全国共通となる着物の生地巾を利用し、どの産地の反物でも成立するように設計された構造的普遍性が評価されて、2024年グッドデザイン賞を受賞しました。
デザインを主役に据えるのではなく、素材や技術を活かすために形づくられたこのケープは、MIZENが掲げる「技術が主役」という思想を象徴しています。


KAMUI - KIMONOニットスクエアケープ
米沢織「昇」暁光
※受注生産
大量生産が常識とされるニット業界の中において、一着ずつ丁寧に製作できる異例のモデルで、ニットの色と着物の組み合わせを自由に選ぶことで自分だけの一着をオーダーが可能になりました。
これは工場が目指す「技術の発信」と、それを理念に掲げるMIZENの「デザイン思考」が噛み合ったことで、今日に至るまでの深い信頼関係の上に成立しています。
見た目はシンプルでありながら、語れる背景に満ちた、まさに“余白を楽しむ”ことができる、MIZENの代表作です。
MIZEN
「余白を楽しむプロジェクト」
A Project to Interpret the Unseen
MIZENは 目に映る美しさの奥に広がる産地の風土や歴史 職人の技術 そして生き様といった『余白』こそが我々の作品の本質的な価値であると考えています。
現代のファッションは 瞬間的で視覚的な刺激が重視されるがあまり過度なスピードが求められています。
その加速された消費の世界では本来時間をかけて丁寧に仕上げられるべき手仕事が評価の舞台にすら立つことができません。
伝統技術の衰退は我々一人ひとりが無自覚に求めている『欲望の速度』によって引き起こされているのです。
だからこそ私たちはそのスピードを緩めたときに見えてくる新鮮で豊かな世界を作品を通じて提示したいと考えています。
MIZENが目指す道は現代の流れに逆行する 静的で悠然とした美の在り方への挑戦かもしれません。
しかし日本にはかつて「余白を楽しむ」という価値観が確かに存在していましたそれはものの奥に潜む物語や気配を自ら感じ取り想像し心を満たす行為であり日本人が長い歴史の中で培ってきた美意識でもあります。
私たちは 現代の人々が忘れかけているこの感性を日本各地に点在する伝統技術とともに再び呼び覚まし世界へと届けていきたいと考えています。
そしてその余白に自ら気づき 埋めていく過程に喜びや幸せを感じられることこそが物質的経済的なラグジュアリーとは異なる精神的な新たなラグジュアリーの在り方だと信じています。
MIZENは「余白を楽しむプロジェクト」として日本の伝統技術を「ブランド」として昇華させるために職人たちの手仕事とその奥に眠る物語を洋服という形にのせ新たなラグジュアリーの可能性を問い続けていきます。