KIMONOニット スクエアケープ
日本の伝統美を纏う着物と 現代的な感性と快適さを表現するスクエアケープ
COLLECTION
編み物と織物、伸びる素材と伸びない素材。
性質が全く異なる2つのものを繋ぎ合わせることは、
容易ではありません。両者が綺麗に馴染むという
狭い条件の中に当てはまらなかった場合、
生地表面に望まない「イサリ(シワ)」が生じ、
これが美しいシルエットを損なう要因となります。
これを解消する鍵は「ハイゲージのリンキング」
極小の編みの目を細かく丁寧にマシンの針で拾いながら着物と
縫合することによって、着物と一体化するように
滑らかに繋がるのです。
ハイゲージを扱えるニット工場自体が数えるほどしか存在しない
日本の中でも、指折りの職人達だけが1着に数日をかけて
完成するという、至高の技によって仕上げられる逸品です。


またKIMONOニットシリーズは、機械編みのニットという
業界の常識を打ち破る工場との挑戦でもあります。
一般的な機械編みは一度プログラムを組めば
数量が多いほど効率が良いため、大量生産が前提で製作されています。
その様な業界の常識の中、MIZENでは着物やニットの色を
カスタマイズしながらのオーダーが可能で、それらを1着ずつ
生産しているのです。これは、MIZENの理念である「技術が主役」
という妥協なき品質への拘りを約3年かけて伝え続けた結果、
工場側がその熱意にようやく理解を示してくれる様になったからです。
KIMONOニットシリーズは設備と技術だけでは成り立ちません。
人と人とが同じ目標を共有し、心が繋がり合えたからこそ産まれた
熱い志しの結晶なのです。
MIZEN
「余白を楽しむプロジェクト」
A Project to Interpret the Unseen
MIZENは 目に映る美しさの奥に広がる産地の風土や歴史 職人の技術 そして生き様といった『余白』こそが我々の作品の本質的な価値であると考えています。
現代のファッションは 瞬間的で視覚的な刺激が重視されるがあまり過度なスピードが求められています。
その加速された消費の世界では本来時間をかけて丁寧に仕上げられるべき手仕事が評価の舞台にすら立つことができません。
伝統技術の衰退は我々一人ひとりが無自覚に求めている『欲望の速度』によって引き起こされているのです。
だからこそ私たちはそのスピードを緩めたときに見えてくる新鮮で豊かな世界を作品を通じて提示したいと考えています。
MIZENが目指す道は現代の流れに逆行する 静的で悠然とした美の在り方への挑戦かもしれません。
しかし日本にはかつて「余白を楽しむ」という価値観が確かに存在していましたそれはものの奥に潜む物語や気配を自ら感じ取り想像し心を満たす行為であり日本人が長い歴史の中で培ってきた美意識でもあります。
私たちは 現代の人々が忘れかけているこの感性を日本各地に点在する伝統技術とともに再び呼び覚まし世界へと届けていきたいと考えています。
そしてその余白に自ら気づき 埋めていく過程に喜びや幸せを感じられることこそが物質的経済的なラグジュアリーとは異なる精神的な新たなラグジュアリーの在り方だと信じています。
MIZENは「余白を楽しむプロジェクト」として日本の伝統技術を「ブランド」として昇華させるために職人たちの手仕事とその奥に眠る物語を洋服という形にのせ新たなラグジュアリーの可能性を問い続けていきます。