いしげ結城紬
ISHIGE YUKI TSUMUGI
茨城県 IBARAKI PREF.
自然の恵みと産地の古の技を今に伝える
石下結城紬は1000年以上の歴史が続く産地で、60年前に生まれたもうひとつの結城紬です。
下総国を流れる鬼怒川沿いには、古くから養蚕・織物の歴史があり、結城紬 最大の特徴の真綿による上質な着心地が生まれます。
厳格に伝統と規律を守ってきた本場結城紬の物作りに対し、
石下結城紬はもっと手軽に真綿の着心地を楽しんでいただきたい想いで生まれた、
自由で様々な手法を組み合わせてつくられた、新しい結城紬です。
糸つむぎ
糸は、生糸(きいと)にならない屑繭(くずまゆ)を煮て引き伸ばして
シート状にした真綿(まわた)から動力を使い手で引き出して紡ぎます。
縦糸の場合はそこに更に細い生糸を絡ませ、補強します。
糊付け~糸干し
真綿でつくられた糸の毛羽立ちをおさえ織りやすく繊細な糸に補正するために糸に糊付けを行います。
枠に糸を巻いて輪状に束ねたものを「綛(かせ)」といい、その状態で糊付けします。
その後、余分な糊を取り除くために、糸をはたきます。
糊がついた糸同士がまとまって付着しないように、左右の親指で糸を細かく分けながら綾を等間隔に
広げていきます。これを「糸さばき」といいます。この時、一本一本をほぐしながら丁寧にさばくことが大切です。
糸をさばいたら、時間をかけて糸の芯まで糊を浸透させ天日干しでしっかり乾かします。
各職人にとってやり方は様々で、二本の竹竿に通して、一本は綛を支えた状態にして
もう一本は、竹の重さで綛をぴんと張らせて、天日干しをします。
墨付け
図案に基づいて絣の模様を構成する経糸、緯糸を分けて必要本数を整えます。
各機屋によってやり方は異なりますが、本数を準備し糸の束を吊った状態で、
図案から写し取った寸法の紙や種糸を当て、竹ヘラに墨を付け、経糸の束、緯糸の束に
それぞれ絣の模様となる正確な基準点をつけます。
絣括り(かすりくくり)
糸の束に墨付けした点を木綿糸で括ることで木綿糸が防染の役割をして、括らない箇所は染料が浸透します。
指先の力でしっかりと木綿糸を括りますが、柄の大きさによって括る幅も増え、柄が細かいほど細かく括ります。
一定の力加減でしっかりと正確に括るには経験と技術が必要になります。
一反全体で、数万か所の縛りが必要な場合があり、絣括りだけでも数か月かかることもあります。
型紙手捺染
石下結城紬では型紙手捺染という経糸を台に張った状態で型紙を置き、
染料を型紙の上にたらして、木のヘラを上下に移動させながら染料を捺染する技術もあります。
一枚の型紙を捺染した後は端にある印を基準にして横に型紙を移動させ、
再び型紙を置いて繰り返し糸に捺染していきます。
色数がある図案ほど、使用する型紙の枚数も増え、重ねていく色数も増えて、
いかに誤差なく染料を重ねていくかは高い技術が必要になります。
製織
石下結城紬の織機は半動力機のシャトル織機で織る方が一人一台ついて
丁寧に製織していきます。
図案に合わせて絣の位置や打ち込み本数を確認し、
絣と絣の間の長さも確認しながら製織していきます。
目で絣の位置を確認すると同時に手で絣糸を合わせる場合もあり、
熟練の技術がないと絣を織ることはできません。